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「それにしても門番ってのは初めてだなー、坐玄」

「・・・かも。ていうか、敵来ない」


ここは中天伎と東天伎を隔てる境界で、数ある門のうち大きさは中くらいだと聞いた。
今回の俺たちの任務は、この門から東天伎に渡ろうとする連中を食い止めろ、ということらしい。
この時代、情報漏れを防ぐ目的で、越境するのはかなり難しい。
俺達でさえ中天伎までしか行くことはできない。そのため戦場はいつも中天伎だ。
そう考えると、改めて諜報班の凄さを思い知る。吾妻なんか特に、西天伎にまで行くことがあるみたいだしな。





「まあ気長に待とうぜ。おそらく正面から来ることはないだろうからな。気を付けて360度見てないとな」





門から少し離れると、そこは小規模な森になっている。そこに敵が潜んでいる可能性だってある。
そんな事を考えながら目線を上げると、夜空を横切る飛行物体に俺は気がついた。


「ムササビか?―――そんなワケないよな」


確認のため門の上に飛び乗る。

複数の黒い影。あれはどう見ても、今回の標的だ。


門を飛び越そうってか。あんな小振りの飛行器具見たことがない。機械オタクの如月が見たら喜ぶだろうな。
しかも奴らの飛行には高さがある。
投擲系による攻撃を交わしやすい高さ、だな。随分研究してると見た。





俺は腰に携えていた微塵を、飛行物体に向けて伸ばす。
奴らはそれに気付き、少しでも広範囲に散ろうとする。

無駄だ。俺の微塵をただの鎖だと思っているらしいな。


風向を読み、数種類の鎖の束を特殊な節で不規則に繋げる。
そうすれば、動きの多様性は無限に広がる。



ジャラジャラ、狙いどおり奴らの体を鎖が捉える。






「残念だったな。そう簡単に東天伎へは通さない」


夜空に鎖の音が響く。









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そのころ地上では。




「?」

ふと、坐玄は前方の地面に違和感を感じた。
すぐさまその付近に這いつくばり、慎重に異変を確かめる。
耳を地面に付けて


「この、音・・・」


何かを聞き取った坐玄は、地面を掘り始めた。
爪を使って驚異的な速度で掘り進める。





ある深さまで進んだところで、空洞に達する。





すると中から
「誰だっ!?な、なんで気付かれた!?」





どうやら、上から門を飛び越していく部隊と、門の下を掘り進んでいく部隊に分かれていたようだ。
絶対に気付かれることはないと過信していたのだろうか、一人が気が付き声を上げると、その一帯に動揺が広がる。


その様子を見た坐玄は、彼らに向かって



「隠れてないで、俺と、遊んでよ?」



ニヤリと笑んだ。






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戦闘モードに入った坐玄は、人格が変わり好戦的になる。
姿勢を低くして彼らを挑発する。
長い爪で器用に武器だけ交わし、自分に飛びかかってきた来た人間を捕まえる。
そして関節技で動きを封じ、首を逆方向へ軽くひねれば一瞬にして彼らは白目をむいて意識をとばした。







坐玄はつまらなそうに


「ああぁぁぁ!!弱い、弱いよお前ら。
もっと、強い奴・・・いるんなら出てきてよ?」


そう言うと、唸りながら複数人が向かってくる。


「ククク、なかなかいい感じになってきた」
言いながら、人間とは思えないような柔らかい動きで彼らの動きを封じる。



「・・・けど、時間切れ。お前らみんな、仲良く戯れてなよ。一生懸命掘った、土の中でさ!」

何が起きるかわからない、といった様子で彼らは怯え惑う。
反対に、坐玄はすっと真剣な顔つきで呟く。





「『毒景色(ドクゲシキ)』。」













次の瞬間には、彼らは地中に頭から腰まで埋まり、地上に足だけ投げ出す状態になっていた。
まるで草のように雑然と生えているのは、ピクリとも動かない人間の足で、なんとも奇妙な光景である。










大したことなかった、と不満をこぼし門の上を見上げると、幼馴染の片割れが戦っているのが見えた。
そして視線をずらすと、前方の森の中に待機している複数の影を捉えた。
坐玄は、それらは隆太が今片づけている種類の人間であるということを確認すると、森の中へと進んでいった。






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