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瞼が重い。体に力が入らない。
ぼやけた視界。木目の天井。
「ん?ここは・・・部屋か。俺は任務で・・・って、兄さんは!?」
ガバッと勢いよく起きた。

「私なら此処にいる」
耳になじんだ冷静な声色。兄さんが、俺の寝ていた布団の横に正座で座っている。
「えっ?あ!・・・はぁ〜、よかった無事か〜」
俺は安堵のあまり、全身の筋肉が弛んだ。

「当然だ。極闘班長たるもの、あれしきの戦いでくたばってなるものか」
「本当によかった〜」
俺がまだ喜びに浸っていると、
「ちっとも良くない!こんな大怪我をして・・・幸いにも命に関わらなかったものの、思慮が足りん!私を助けて、英雄にでもなったつもりか?」
険しい口調で俺を責めたてる。
「そんな事考えてない!俺はただ、兄さんが傷つくのが嫌なんだ!」
俺は精一杯反抗する。
「私が無事でもお主が怪我をしてるではないか!」
「それが何だよ!?俺が望んだことだろ!」

「いいか、霧島。庇う方は自分だけ傷を負って満足するのと反対に、守られた方はその傷を見て心が痛む。
必ずしも双方にいい結果になるとは限らない。・・・判るか?」
威圧しながら俺を諭そうとする。
それを聞いた俺は、我慢できなくなった。
「・・・それは、兄さん自身の事を言ってるよ」

「何だと?」
反論されると思っていなかったのだろう。声に驚きが混じっている。

「兄さんは、俺のために家を出て行ったんだろ?・・・馬鹿な俺でも判るよ」

「何の、話だ」
少し震えた声を発した。
兄さん、まだしらばっくれるつもりか?

「兄さんは何でもできるけど、演技は下手だな。・・・腹割って話したい、認めてくれ」
最後のお願いだ。

「・・・・・・だとすれば、何だ?」
兄さんが、静かに口を開いた。


「兄さんが出て行って、俺は逆に苦しんだ。ちっとも助からなかった。けど、本当は俺以上に辛かったのは兄さんだろ!?
俺は馬鹿だから、兄さんが何を考えて出て行ったか、どうして俺を忘れたフリをするか、想像がつかない!
しょうがないって、それじゃダメなんだ。そうしてる間に、兄さんは俺の手の届かない所に行っちまうんだ!
俺さ、すっげえ修行したよ。でも、まだまだ兄さんに近寄れた気がしない。兄さんが俺を認めてくれないと、俺はあの日のまま何も動き出せてないのと同じなんだよ!」


すると、兄さんが静かに口を開いた。
「・・・・・・私を、恨んでいるか?」
「へ?」


「すまなかった。ただ、こちらにも事情があった。聞いてくれるか?」



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