「うわあぁぁっっ!??」




「誰よりも近く、君に、夜空を見せることができる」


楽陀は、曾良を抱えて夜空に飛んだ。


「すげー…飛んでるのか!?うわー!!」


空中を浮遊するという初めての体験に、曾良は驚き感嘆の声をもらした。


「どう?気に入ってもらえたかな?」

「ああ、建物や人が小さく見える・・・・・すげえ、町を見渡せる・・・!」

「下ばっかりじゃなくて上を見てごらん」

「うっわ!!月でかっ!綺麗だなー・・・」

「満月だ。運が良いね」




感激のあまりまばたきも忘れてしまった曾良の様子を、楽陀は愛おしそうに眺めた。












**













僕たちはひとしきり空中を散歩し、地上に降りた。
曾良君の顔を見ると、さっきまでの思いつめた表情はなく、目は輝いて頬が上気していた。



「菱川」

「何だい?」

「今日は、その、・・・・・・・・・ありがとうな。危ないところ助けてくれたり、色々」

「大したことはしてないよ」



お礼なんて初めて言われた。いつもは罵詈雑言をぶつけてくるのに。



「お前に励まされるとは思わなかった。あー不覚!・・・・・・それにしても、飛べるなんて世の中には珍しい人間もいるもんだな!」








僕が君を励ましただって?



違うよ。そうじゃない.。



君が、僕を励ましてくれたんだ。



この能力を目にしてなお、僕のことを『人間』と言ったのは君が初めてなんだよ?













「菱川さ、さっき俺は俺のままでいいって言ってくれたよな」

「うん」

「菱川も!・・・お前も、お前のままでいろよな!」

「?」









曾良君が背を向けて言う。









「さっきアイツらとモメてた時、なんか、お前ちょっとキレかかってただろ?別人みたいで・・・・・・・・・・・・怖かった。
風神とか、色々言われてるけどよ。確かに、お前すげえ強いけどよ。
















・・・・・・俺の横でずっとヘラヘラ笑ってる、ただの菱川でいろよな」













耳を真っ赤にして、拳を握り締めて、そう言った。
真正面から言わないのが曾良君らしいよね、本当に。
いつもは拒絶する言葉しか言わないのに、照れながらも勇気をもって言ってくれたんだね。


そんな君を見てると、僕はもうたまらないな。



「ああ、約束するよ」



















「そうだ、曾良君」




「なんだ?」




「帰ったら…」




「?」




「いっぱいシようね」




「っっ!!!いっぺん死ね!!!」










僕たちの喧騒は夜空に吸い込まれていく。深い深い、紺色の中へ。

しかし、僕たちの未来は輝きを増していく。

そう信じたい。









**



ちなみに。


「菱川、外出許可ちゃんともらってたのか?」

「もちろんさ。極闘には私用で学校から抜けられる秘密の札があるんだよ。年に一枚しか貰えないけどね」

「ほー・・・って、ェェェエエエ年に一枚のやつ使っちまったのかよ!?もったいねー!!」

「もったいない?そうかなぁ、曾良君とデートできたし僕は大満足さ☆」

「そんなもんか・・・??」


やっぱ菱川ってよく判らねーな、そう思った曾良であった。







**
あとがき。

この前までは、殺るか殺られるかの切迫した関係だったのになんだコイツらww
甘すぎじゃ!
えっと、BGMはもちろん星○飛行で(キラッ☆)・・・嘘ですごめんなさい。
視点の転換が激しくてごめんなさい。双方の思いを書きたかったもので。


(09.02.18)


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