<楽陀と曾良>
【今宵、君を道連れに】
ある日の昼下がり。
「雲居!ちょうどいい所に!」
廊下を歩いていると、突然呼び止められた。
声の主は、俺と同じ治療班の奴だった。
「なんだ?」
「月に1回の薬剤の買出し、先輩から頼まれてたんだけどよー。補習入っちまって俺行けそうにないんだ。
だから雲居、お前が行ってきてくれないか?」
「俺が?今から本読もうと・・・」
「頼む!すっぽかしたら先輩に何言われるか判らないんだ」
言いかけた言葉は奴によって阻まれた。
頭を垂れて手を合わせ、懇願してくる。
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コイツも悪い奴じゃないし、しょうがないか。
「…わかったよ」
「あーマジで助かる!お礼に今度、お前がめんどい時当番代わるから。じゃなー」
めんどい時って何だ。俺は治療班の仕事をそんな風に思ったことはないけどな。
大した傷でもないのに治療室に来たり、からかいに来る奴を相手にしてる時は疲れるが・・・。
特に菱川とかな。
あーうぜー何思い出してんだ俺。
そうして俺は、この学校に入学してから初めて、校外に出ることになった。
***
学校から外出許可願を得て、校門を出る。
学校から出ることができるのは、治療班・諜報班・極闘くらいだ。
無所属の奴らは、全くと言っていいほど外には出られない。
まるで監禁状態だ。
女を絶って修行に励めということらしいが、盛んな年頃の男たちを一同に一箇所に押し込めたらどうなるか。
医学的にも健全とは言い難い。可哀相な気がする。
そういうことで悩んでいる、と治療班に相談に来る奴もいる。俺たちにどうしろというんだ。迷惑な話だ。
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薬剤調達リストに書いてある物を、何店か回って買いそろえていく。
今のところ順調で、何のトラブルもなく調達できている。
気づけば、もう日が暮れ始めていた。
「最後の店は・・・・・・あそこか」
少し古びた外装だが店内に入れば判る、豊富な品揃え。
何十種類もの材料が、天井まである引出しに格納されている。
目当ての物を探して店内を見回していると、あるものに目がとまった。
二人組の男。
一人は何かを隠すように不自然に立っている。もう一人がその陰で商品を懐の中に入れていた。
俺のいる場所からはその一部始終が見えた。
あれはどう見ても、万引きだ。
二人組はそのまま何食わぬ顔で店内を去ろうとした。
俺はすかさず、正義感から声をかけた。
「お前ら、今盗んだだろ?」
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